ランドスケープ・・・夏はやっぱり海ですな!
少し前に行ったオーストラリアでの休日。夏なので海の画像です。
「どうだい、いいイルカの写真が撮れたかい?」
セスナ機で私をモンキーマイアまで運んできた退役軍人の男が聞いた。
「まあまあだね」
カメラのモニターで今撮影したばかりの画像を見せると、彼は片手でイルカが泳ぐまねをして、「シュー」という音を出した。動きがあって、泳いでいるねという意味らしい。
サングラスの奥の目が笑っている。
モンキーマイアは自然に餌付けされたイルカが見られるのでちょっと有名だが、これがパースからセスナ機で5時間ほど飛ばねばならない。死ぬかと思うほど窮屈な機内。私はしばらくパイロットの隣の副操縦席で縮こまっていたが、流石に我慢できなくなり、手足を不完全に伸ばしながら精一杯のあくびをした。その時だった。突然、セスナ機が急旋回し、しかも急降下を始めたのだ。やばい!退役軍人のパイロットはすごい叫び声を上げ、それでも何とか機体を立て直した。
「やるじゃないか」私は心の中で彼に声をかけたのだが、しかしこの危険飛行はエアータ-ビュランスでも何でもなく、私の足がラダーペダルを思い切り踏みつけたのが原因だったようだ。
で、以後はあくびも禁止になってしまった。
シェルビーチは貝殻しかない、天国的に白くどこまでも続くビーチ。はるか沖まで行って見えなくなりそうなのに、水深は膝までしか無い。写真の撮りようがなくただぼんやりと眺めていたものだ。この小さな貝殻が堆積すると長い時間と圧力の末、結晶化して固まる。この当たりではそれを地中からブロックで切り出し、家を作ってきた。
白い美しい貝殻をペットボトルに詰め、お土産として持って帰った。実家ではそれを植木鉢に敷き詰めた。鉢は綺麗になったが、植木が全て枯れてしまった。よく洗ったにも拘わらず、塩分が抜けなかったようだ。
海の彼方に伸びようとしている。すでに枯れてしまったというのに、なおも波濤を渡って行こうと・・・そんな意志を感じる造形だった。
ここは小さな島なので散歩しながら一周しても全く苦にはならない。生態系が厳しく守られてきた小さな楽園。清浄な宝石のような土地。
今日の午前中、私はビーチチェアーに横たわりながら、「ああ、太陽がいっぱい!」とか言ってみたのだが、ちょうどその時、目の前の海に一機の飛行艇が降りてきた。砂浜で遊ぶ二人の金髪の子供たちの背景となって、機影は次第に大きくなり、やがて着水すると、かなり水際まで来てアンカーを下ろした。まずポーターが腰まで水に浸かりながら降り立った。私は、彼が頭の上に革の四角いトランクを載せて、ゆっくり歩き始め、続いて数人のファミリーが、上陸のため飛行艇からゴムボートに乗り込むのを見ていた。勿論、私には彼等に「俺の島から出ていってくれ!」と言う権利はなかったが(第一私の島ではないし・・・が、先住権というか古参というか、わずか数日分の優越感なのだろう、この発想は)、しかし、傍若無人のヴァカンス客が押し寄せて来るならば、デリケートな島の生態系に悪影響を及ぼす事も有りうるだろう。
しかし、自家用の雰囲気を醸し出していたあの飛行艇、たとえチャーターしたものにしても、一味はかなりこの島に慣れているようだった。私の方がよほど、よそ者だったに違いない。
最近、この島では観光客に餌付けされてしまった鳥の群れが問題になっているそうである。残念な事だ。
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